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自然

絶滅危惧種

九州本土側の動植物は、環境の変化や外来種の圧力によって個体数が減り続け、ついには絶滅してしまうことがあります。開発や人為的な影響が少なく、外来種の持ち込みもほとんどない沖ノ島では大丈夫なのでしょうか。

沖ノ島生物目録/宗像市教育委員会(2023年12月)

カテゴリー 要件
絶滅(EX) 過去に生息が確認され、最後の個体が死亡・消失したことに疑いが無い分類群
野生絶滅(EW) すべての自生地で消失したが、確実な個体が公的機関で栽培・飼育・系統保存されている分類群
絶滅危惧IA類(CR) 成熟個体数が100以下と推定されるものなど。
絶滅危惧IB類(EN) 成熟個体数が3桁程度と推定されるものなど。
絶滅危惧Ⅱ類(VU) 個体数が大幅に減少しているものなど。
準絶滅危惧種(NT) 生息状況の推移から見て、種の保存への圧迫が強まっていると判断されるものなど。
情報不足(DD) ランクを判断するに足る情報が得られない種。

鳥類

  • カンムリウミスズメ
    撮影場所:小屋島/撮影者:岡部海都氏
    3月から4月にかけて小屋島で営巣します。大島では昔、春の運動会前日に一斉に卵を取りに行ったことが語り継がれています。卵は、ニワトリよりやや小さく殻は薄茶色で、美味しかったようです。現在は種の天然記念物に指定され、無断で採取することはできません。
    [福岡県絶滅危惧ⅠA]、[IUCN:VU]
  • ヒメクロウミヅバメ
    撮影場所:小屋島/撮影者:岡部海都氏
    6月から9月にかけて小屋島に飛来し営巣します。おそらくカンムリウミスズメと同じ巣穴を再利用しているものと思われます。
    [福岡県絶滅危惧ⅠA]、[IUCN:NT]
  • リュウキュウコノハズク
    撮影場所:沖ノ島/撮影者:岡部海都氏
    ホホ、ホホ、ホホ、ホホと約2秒間隔で鳴きます。夕暮れから鳴き始め、主に夜間オオミズナギドリの喧騒に混じって聞こえてきます。
    [福岡県絶滅危惧ⅠB]、[IUCN:LC]
  • ウチヤマセンニュウ
    撮影場所:沖ノ島/撮影者:岡部海都氏
    スズメよりややスマートな鳥で朝とタ方に「沖の島漁港」近くに飛んできます。
    チュヒ、チュヒ、チュヒという鳴き声で近くにいることがわかります。
    [福岡県絶滅危惧ⅠB]
  • カラスバト
    撮影場所:沖ノ島/撮影者:岡部海都氏
    春から秋にかけて沖ノ島本島や大島及び地島にも生息しています。ウーグルグルグルーとうなるような鳴き声を発し、近づくとバタバタと羽音を立てて逃げていきます。
    カンムリウミスズメ同様、種の天然記念物に指定されています。
    [福岡県絶滅危惧ⅠB]、[IUCN:LC]

昆虫類

  • ムモンチャイロホソバネカミキリ
    南方系の種で沖ノ島が北限。幼虫はタブノキの枯損木(こそんぼく)を食べ、成虫は灯火(とうか)に飛来します。沖ノ島では枯れ枝から採集したという記録があります。
    [福岡県準絶滅危惧種]
    (福岡県沖ノ島の甲虫相城戸克弥KORASANA匿巻75号久留米昆虫研究会2007)より転載
  • クスベニカミキリ
    幼虫は竹類を食べ、成虫は花の蜜を食べます。昼間によく飛び回ります。
    [福岡県準絶滅危惧種]
  • ハラスジケズメカ
    北海道や沿海州の集団と同一の雄交尾器の形態から、沖ノ島へは、朝鮮半島と密接な関連のある時代(氷河期)に入ったのではないかと考えられています。
    [福岡県準絶滅危惧種]
  • クロツバメシジミ
    撮影者:西田 迪雄
    県内では1955年にはじめて新宮町相島(しんぐうまちあいのしま)で発見され、その後津屋崎や沖ノ島、芥屋(けや)などで採取されました。1980年以降、海岸環境の変化により急激に減り続けています。
    主にベンケイソウ科(イワレンゲ・タイトゴメなど)を食用としています。
    [福岡県準絶滅危惧種]
    昆虫と自然世界遺産「宗像・沖ノ島」の昆虫たち三枝豊平2019 より転載
  • ヨツボシハナコブヒメゾウムシ
    黒潮や対馬暖流に沿う琉球列島や伊豆諸島、九州沿岸に生息し、暖地を好む種です。宗像市鐘崎、大島、地島、沖ノ島に記録があります。
    [福岡県情報不足]
    (福岡県の希少野生生物2014)より転載
  • ゴマダラチョウ
    撮影場所:沖ノ島沖津宮社殿前
    朝鮮半島、ヒマラヤ、ベトナムに分布。翅が黒褐色の地に白斑模様であることが和名の由来。沖ノ島では夏、クワノハエノキの樹上を飛び回っています。
    [福岡県情報不足]
    福岡県沖ノ島の甲虫相2007より転載
  • コトラガ
    撮影日:2022年6月16日/撮影場所:沖ノ島オタカ/撮影者:佐々木公隆氏
    県内では、築上町(旧椎田町)と沖ノ島に記録があります。今年のRDB調査では、オタカや大麻畑、一ノ岳で広く分布が確認されました。
    [福岡県情報不足]

植物

  • オオユリワサビ
    宗像大社神宝館所蔵標本 1963年4月4日調査資料

    沖ノ島の大麻畑で初めて発見されたタイプ標本でしたが、現在は消失したようで、見つかっていません。その後は、同種のものが四国や北陸、東北で確認されました。
    [福岡県絶滅]

    ※タイプ標本:新種記載の拠り所となった標本のこと

  • ハマムギ
    撮影日:2012年8月8日

    福岡県レッドデータブック2011では、福津市(旧津屋崎町)や新宮町などで記録がありましたが、その後絶滅したと判断されました。ところが2012年に沖ノ島でハマムギの生育が再度確認されました。現在もなお漁港近くに10株ほど生育しています。
    [福岡県絶滅とされたがその後発見]

  • イワレンゲ
    撮影日:2011年8月3日

    昔は玄界灘沿岸の集落に建つ古民家の屋根などにごく普通に生育していましたが、現在は建物が新しく建て替わったことで生育環境が変化し絶滅の危惧に瀕しています。沖ノ島では頁岩からなる崖面に毎年2〜3株確認できます。
    [福岡県絶滅危惧ⅠA]

  • フウラン
    撮影日:2011年8月2日/撮影者:岡部海都氏

    市内では八所宮で確認されていますが、沖ノ島では一ノ岳の岩の崖縁や高木の枝などに着生しています。名前の通り風通しの良いところに生育しています。
    [福岡県絶滅危惧ⅠA]

  • イソヤマアオキ
    撮影日:2011年8月2日

    沖ノ島が自生の北限とされ、二ノ岳と三ノ岳の鞍部から70年ぶりに再発見されました。日光があまり射さず、霧が発生しやすい条件のもと生育していると思われます。
    [福岡県絶滅危惧ⅠA]

  • ビロウ
    撮影日:2009年11月6日

    沖ノ島のワレノハナの尾根に4株確認されています。幹には「大正六年」の落書きが風化せずに残り、江戸期の書物にも「シュロ」と紹介されていることから、このビロウがかなり古いころから生育していたことがわかります。沖ノ島が自生の北限です。
    [福岡県絶滅危惧ⅠA]

  • コケミズ
    撮影日:2011年8月1日

    福岡県内では、沖ノ島と英彦山で確認されています。岩場で風通しが良く、適度に水分があり、日陰でありながらたまに日の射す条件のもとで生育しています。
    [福岡県絶滅危惧ⅠB]

  • コバノイラクサ
    宗像大社神宝館所蔵標本 1962年7月25日調査資料

    沖ノ島が自生地の南限とされ、県内では沖ノ島のみ自生しているようですが、ここ数年確認されていません。
    [福岡県絶滅危惧ⅠB]

  • オオタニワタリ
    撮影日:2011年8月3日

    沖ノ島が福岡県内で唯一の自生地であり国内の北限です。沖ノ島では主に南側の谷地の岩場に多く自生しています。
    [福岡県絶滅危惧Ⅱ]

  • クワノハエノキ
    撮影日:2010年6月3日

    県内では、沖ノ島以外にも小呂島、大島中津宮境内、鐘崎に生育しています。沖ノ島では、夏にゴマダラチョウやタマムシが樹上を好んで乱舞しています。
    [福岡県絶滅危惧Ⅱ]

  • ミヤコジマツヅラフジ
    撮影日:2012年8月10日

    県内では、沖ノ島以外にも地島や白島で自生が確認されています。ハート形をした葉の付け根から5mm程度内側に茎の接点があることが特徴的です。
    [福岡県絶滅危惧Ⅱ]

  • ヒゼンマユミ
    撮影日:2022年6月17日

    長崎県ではじめて発見された樹木であることからこの名がついています。沖ノ島では、ごく普通に生育しています。本来低木層に分類されていますが、場所によっては高木に成長したものも見られます。
    [福岡県絶滅危惧Ⅱ]

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