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自然

動物

絶滅危惧種に指定されている沖ノ島の生物はこちら

鳥類

オオミズナギドリの沖ノ島での日常
  • 午前4時ごろ、「飛び立ち木」に群がり、列を成して上へ上へと進んでいきます。
    ある程度まで登ると、幹から飛び降りるようにして飛び立っていきます。
    うまく風に乗れずそのまま地面に落下したものは、再び同じ幹を登っていきます。

  • 上記と同じ時刻、同じ瘍所の地面では、山の上の方から「飛び立ち木」を目がけて集まる中で、ところ構わずあちこちで交尾が始まります。

  • 夏、地面にはオオミズナギドリの卵の殻があちこちに転がっています。
    巣穴の中ではヒナが孵り、親鳥の帰りを待っていると思われます。

  • 地面に穴を掘ってヒナを育てるオオミズナギドリの巣穴は、入口の直径が20cm前後で奥行きが50cmから1mあります。ほかの巣穴と地下で貫通することもあるようです。
    宗像地域ではオオミズナギドリを「オガチ」と呼び、語源は地面を「穿つ」が変化したものではないかともいわれています。

沖ノ島と小屋島のすみ分け

オオミズナギドリは、沖ノ島本島で主に夜間、営巣活動を行っています。
ところが、カンムリウミスズメやヒメクロウミツバメは、主に小屋島で営巣活動を行います。
なぜ棲み分けができているのでしょうか?

1987年、小屋島にネズミ類(ドブネズミ・クマネズミ)が侵入したことでカンムリウミスズメとヒメクロウミツバメの卵やヒナが襲われ壊滅的な状態となりました。その後ネズミ類は駆除されましたが、以前のような生育数には戻っていません。(いのちのたび博物館ホームページ2006より)

オオミズナギドリはネズミ類と共に沖ノ島本島で繁殖することが可能ですが、カンムリウミスズメやヒメクロウミツバメは基本的にはネズミ類がいない小さな島や岩礁でしか繁殖することができないということです。
また、小屋島では土の堆積がほとんどない為、オオミズナギドリが入るサイズの大きな巣穴を掘ることができないということも考えられます。

昆虫類

沖ノ島の昆虫類は、渡島の制限に加え、季節によって出現する種類の変化や関心の高い分野にのみ特化した調査が先行する傾向にあり、これまで網羅的(もうらてき)な調査が進んでいません。
最も詳細に調査が進んだ種は城戸克弥(きどかつや)氏の功績が大きい甲虫目(鞘翅目・しょうしもく)で、次いで見た目にも美しく多くの人が魅了されるチョウ目(鱗翅目・りんしもく)の研究です。カメムシ目(半翅目・はんしもく)やハエ目(双翅目・そうしもく)の調査も一部で行われていますが、まだまだ調査の余地を残している分野です。

  • ゴマダラチョウ
    後翅(うしろばね)の模様は、対馬産のように黒い部分が減って白化しているものや、九州本土産や大島産・地島産のように白斑部分が後縁(こうえん)近くまで伸びているものなどがあります。沖ノ島産は白斑が途中で切れており、福津市八並産(やつなみさん)と良く似ています。
    撮影者: 岡 崇
    撮影場所:沖ノ島沖津宮社殿前
  • ヒメボタル
    ホタルは清流にいるイメージですが。沖ノ島に生息するヒメボタルは陸生の貝類などが分布する湿った場所を好みます。2022年5月26日に実施した調査では、島の北側にも広く分布していることが確認できました。
    撮影者:衣笠淳氏
    撮影場所:沖ノ島沖津宮社殿前
  • アサギマダラ
    撮影日:2022年7月2日
    撮影者:加藤陽ー氏
    撮影場所:沖ノ島沖津宮社殿前
  • カラスアゲハ
    撮影日:2022年7月2日
    撮影者:加藤陽一氏
    撮影場所:沖ノ島オタカ
  • トノサマバッタ
    撮影日:2022年7月2日
    撮影者:大山憲男氏
    撮影場所:沖ノ島漁港周辺
  • フタオビミドリトラカミキリ
    撮影日:2022年7月2日
    撮影者:大山憲男氏
    撮影場所:沖ノ島一ノ岳

陸生貝類

湿度の高い沖ノ島では、陸生貝類が比較的多く、これまでに30種が確認されています。なかでも、よく目にするのは、ツクシマイマイとオキナワウスカワマイマイで、参道沿いに生えている植物の葉などに多く生息しています。
朽木や岩の隙間には、キセルガイの仲間が多く生息し、ヒメボタルの餌にもなっています。
また、大麻畑では、ほぼ涸れることのない小川が流れていることもあり、カワニナの自生が確認されています。陸生貝類の調査は、これまでほとんど実施されていないため、今後、沖ノ島の固有種などが見つかる可能性が高いと言われています。

  • ツクシマイマイ
    撮影日:2022年5月26日
    撮影者:石橋 猛
  • オキナワウスカワマイマイ
    撮影日: 2022年5月25日
    撮影者:石橋 猛
  • ① ヒロクチコギセル
    ② スグヒダギセルSP(仲間)
    撮影日:2022年6月16日
    撮影者:石橋 猛
  • カワニナ
    撮影日:2022年5月25日
    撮影者:石橋 猛
  • No. 種名 備考
    1 ゴマオカタニシ
    2 ミジンヤマタニシ 初確認種
    3 ヒダリマキゴマガイ
    4 ゴマガイの一種 ゲンカイゴマガイ(仮称)
    5 ヘソカドガイ 再確認
    6 ケシガイ
    7 ヒラドマルナタネガイ 初確認種
    8 ホソキセルモドキ
    9 ツシマギセル近似種 再確認(スグヒダギセルsp)
    10 シーボルトコギセル 再確認
    11 ヒロクチコギセル 再確認
    12 トクサオカチョウジガイ 初確認種
    13 ホソオカチョウジガイ 初確認種
    14 オカチョウジガイ 再確認
    15 タワラガイ 再確認
  • No. 種名 備考
    16 クルマナタネ
    17 ヤマナメクジ 再確認
    18 タカキビ
    19 キビガイ
    20 ヒメベッコウ
    21 ヤクシマヒメベッコウ
    22 コシタカシタフ
    23 マルシタラ 再確認
    24 オオクラヒメベッコウ 初確認種
    25 フリイデルマイマイ
    26 コウベマイマイ
    27 チクヤケマイマイ
    28 ツクシマイマイ 離島型(極小) 再確認
    29 オキナワウスカワマイマイ 再確認
    30 カワニナ 淡水 初確認種

備考は、2022年5月25日から27日に実施したRDB調査結果を示しています。
この表は石橋 猛氏によってまとめられたものを使用しています。

哺乳類

  • ドブネズミ
  • クマネズミ

現在沖ノ島で確認されている哺乳類は、クマネズミとドブネズミの2種類です。過去には猫が放たれ野生化したこともあり、一時的にネズミが減ったようですが、その後猫は駆除され、再びネズミが増加しているといわれています。江戸時代に編纂された「筑前国続風土記(ちくぜんこくぞくふどき)」には、「只鼠多(ただねずみおお)し」と記され、昔から沖ノ島にネズミはいたようです。

アブラコウモリ
  • 約10年前に実施された福岡県絶滅危惧種(RDB)の調査では、「沖の島漁港」東側の湧水地でアブラコウモリが捕獲されましたが、2022年6月15日~17日の調査ではコウモリ類の姿も痕跡も確認することができませんでした。

爬虫類

ニホントカゲ
  • 沖ノ島に生息する爬虫類は、今のところニホントカゲ1種類のみ確認されています。数は多く、参道を歩くと素早く岩陰などに隠れる様子があちらこちらで見られます。
    逆に、アオダイショウやマムシなどのヘビ類がまったくいないため、オオミズナギドリなどが襲われる心配はありません。

両生類

カエルやイモリなどの両生類は、これまで確認されていません。常に真水が溜まるような池や沼が無いことが原因と考えられます。

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